15日に日本政府観光局が10月の訪日外国人客数を発表しました。コロナ禍前の2019年10月比+0.8%の251万となり、コロナ禍前の水準を初めて超えました。シンガポールなどの東南アジア諸国、米国、ドイツなどの増加も目立ち、カナダ、メキシコ、ドイツは単月来日客数として過去最高を更新したようです。
「国慶節前に中国人の訪日客数が減るのか?」を記事に書き「(執筆当時統計の8月対比で)絶対数は増えるが伸長率は依然低い水準となる見込み」と見込んでおりましたが、直近3ヶ月の中国人訪日客数の推移について、見ていきます。
2023年の訪日客数の見込み
2023年1月~10月の訪日客数累計値は1,989万人(前年同期比 10倍、2019年比 85%)となり、観光庁によれば11月、12月も19年同水準で推移した場合は年間累計約2,500万になる見込み、とのことです。なお、過去最高の訪日客数となったコロナ禍前の2019年は3,188万だったようです。
10月の中国人訪日客数は65%減(2019年同月比)
国別の訪日客数について、日本政府観光局の統計によると(下表)中国はコロナ禍前の2019年10月比で65%減と大幅に減っており、コロナ禍前は銀座や各地の景勝地では大勢の中国人観光客が溢れていましたが(中国人って声が大きいですよね)、今は大分落ち着いているようですね。
処理水の影響で減少?
下表の直近3ヶ月の中国人訪日客数の推移を見る限りは、2023年国慶節期間の中国人訪日客数は減ったようです(意外にもコロナ禍前の2019年も8月→9月→10月で前月比で減少していました)。
2023年 (2019年) | |
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8月(福島原発処理水放出決定) | 364,100人 (1,000,639人) |
9月(福島原発処理水放出実施) | 325,600人 ( 819,054人) |
10月(中国 国慶節休み) | 256,300人 ( 730,631人) |
現象した原因について、今年8月に中国からの団体旅行が解禁されましたが、東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出の影響や中国経済の減速で減少したと思われます。
実際の各指数を見ても中国経済の減速が分かりますが、景気停滞・減速の影響で節約志向が増えており、中国国内旅行が活況を呈しているようです。
景気停滞・減速で節約志向増。国内旅行が活況
10/6の中国政府系メディアの新華社の報道では国慶節期間中の中国国内旅行者のべ数が8.26億人に達し、コロナ前の2019年比で+4.1%、経済効果(旅行収入)も2019年比+1.5%だったそうです。
海外旅行は航空券など費用が嵩むため、国内を車でドライブするなどのレジャーが人気だったようです。
まとめ(今後の動向について)
今年の国慶節については処理水の影響や中国経済停滞により中国人訪日客数が減少している状況を説明しました。
中国経済の停滞で節約志向が強まり中国国内旅行旅行が増えている傾向にあります。一方で中国の海外渡航者数については、調べても統計が未発表だったため海外旅行者自体が全体的に減っているのかについては調べることができませんでしたが、少なくとも中国人の訪日客数については今後も低水準で推移していくものと思われます。
日本は中国以外の外国人訪日客数が増えており、相変わらずオーバーツーリズムで観光公害が改善されていない状況です。中国人訪日客数が少ない今のうちに、観光公害が改善できるよう国や各自治体は関連設備の環境を整えてくれることを期待したいですね。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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